今回ご紹介するのは「基本のクリームパスタ」です。

 

濃厚でコクのあるクリームソースは、人気・バリエーションともにトマトソース・ペペロンチーノに並ぶ重要なパスタソースです。

 

今回もトマトソースと同様、まずは基本的なレシピをご紹介します。前回の「アマトリチャーナ」でも使用したパンチェッタから旨味を引き出し、生クリーム・牛乳と合わせていきます。

 

※前回の講座はこちら

※今回作るパスタのレシピはこちら

 

基本のクリームパスタ

トッピングについて

今回のレシピではパンチェッタを使いますが、炒めたパンチェッタの使い方には2通りの方法があります。

 

パンチェッタに火が通ってカリッとし始めたら、これを別のお皿に取り出しておく方法と、そのままフライパンの中に入れたままソースを作る方法の2パターンです。

 

前者はパスタを盛り付けた後、仕上げとして上に添えて、カリッとした食感が楽しめます。

 

後者はよりパンチェッタの旨味や味わいを、よりソースに溶かし込むことができます。前回の「アマトリチャーナ」はこちらの方法で作りましたね。

 

どちらを選択するかはお好みですが、ビジュアル面で言えば前者の方が美味しそうに仕上がることが多いです。同様に、パルミジャーノチーズやイタリアンパセリ、胡椒などはトッピングとして仕上げに振りかけてあげると綺麗な仕上がりになりますよ。

 

また、全ての材料を一緒に混ぜ込んで均一な味にするよりも、食べる場所によってある程度味わいが違う方が、飽きないで食べ進めることができる、という考え方もあります。

 

美味しそうに盛り付ける、ということも料理のうちですので、ちょっぴり意識してみましょう。

【ゼロから始めるパスタ講座】vol.5<br>基本のクリームパスタ

ニンニクについて

ペペロンチーノ、トマトソース、ほか多くのパスタソースに使われるニンニクですが、クリームソースに関しては「お好み」です。

 

ニンニクの香りがないと物足りない、という方もいれば、バターとクリームの香りを邪魔するからいらない、という方もいます。

 

これに関してはご自身で試してみて、お好きなレシピで作ってみてください。今回は「基本のクリームパスタ」ですのでニンニクは入れていません。


クリームソースについて

次に、肝心のクリーム部分についてのご説明です。クリームの材料となるのは大きく2つ、牛乳と生クリームです。

 

そもそも2つの食材は何が違うんだっけ? という点ですが、牛乳は牛の生乳に殺菌などの処理を加えて作られたもの、一方で生クリームは牛乳から「脂肪分」を取り出したものです。従って、基本的には生クリームの方がより濃厚でコクのある味わいになっています。

 

クリームパスタにおいては、生クリームだけを使ってしまうと少しクドくなってしまいますので、牛乳と生クリームを半々にして使う、ということをおすすめします。


1点、牛乳を使用する際に気をつけなければいけない大事なこと、それは「分離」です。

 

牛乳には多くのタンパク質が含まれています。これは、酸との化学反応や加熱によって変質、凝固するという特徴があります。

 

ですので、例えばレモン汁と混ぜ、高温で加熱し続ける、などの調理をしてしまうと、タンパク質が固まったカッテージチーズのようなものが分離して浮いてきてしまう、ということになります。味わいはそこまで損なわれませんが、見た目が悪くなってしまいますので、上記のような加工は避けましょう。

 

先に述べたように、生クリームというのは牛乳の中の脂肪分を取り出したものですので、牛乳ほど分離はしません。牛乳に生クリームを混ぜるのは、分離を避けるため、でもあるのです。

 

ただ、分離に対してそこまで神経質になる必要はありません。

 

筆者も牛乳を分離させてしまったことは過去1度しかありません。その時は、「白ワインと牛乳を同時に鍋に入れ」「高温で放置、加熱し続ける」という調理をしてしまいました。

 

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ワインにもクエン酸などの酸が含まれています。今回のレシピでも白ワインを使っていますが、牛乳を加える前にしっかりと強火でアルコール+酸を飛ばしてあげれば、分離が起こることはありません。

 

また、例えば「レモンクリームパスタ」などを作りたい場合は、レモン汁は火を切った後、調理の最後に加え、「牛乳と酸を同時に加熱しない」ようにしてあげれば大丈夫です。

 

あとは、念の為クリームを煮詰める際はこまめにかき混ぜてあげましょうね。

牛乳の分離

パルミジャーノチーズについて

実は「基本のトマトソース」にも登場していた食材ですが、パルミジャーノチーズについて改めてご説明します。

 

パルミジャーノチーズは正式名称を「パルミジャーノ・レッジャーノ」という、「イタリアチーズの王様」とも呼ばれるチーズです。

 

イタリアには「DOP(原産地名称保護制度)」という伝統的な食品の品質を保つ制度があり、特定の地域・決められた製法で作られたものでないと、「パルミジャーノ・レッジャーノ」を名乗ることはできません。

 

一方で、おそらく多くの人に馴染みがあるのは、ファミレスの卓上などにもおいてある、グリーンのラベル・黄色い蓋の「パルメザンチーズ」ではないでしょうか。

 

これは「パルミジャーノ・レッジャーノ」を真似して比較的安価になるように作られた商品で、地域や製法が本来のものとは異なるため、「パルミジャーノ・レッジャーノ」を名乗ることはできません。

 

必ずしも「パルメザンチーズ」の品質が悪い、ということではないのですが、熟成期間などを省略して作られているため、どうしても本家と比べて香りや旨味は劣ります。

 

比較的手に入りやすいチーズでもありますので、可能であれば「パルミジャーノ」の方を手に入れてみてくださいね。そのままでも美味しく食べられるので、おつまみなどにも向いています。

 

チーズを削る際には下記のような「グレーター」という道具が最適ですが、もしお手元にない場合は一般的なおろし器でも結構です。

※私が使っているグレーターはこちら

【ゼロから始めるパスタ講座】vol.5<br>基本のクリームパスタ

ショートパスタについて

今回のレシピでは、ショートパスタを使っています。

 

まず前提として、「パスタ」というのは小麦を使って作った生地の総称であり、「パスタ」の中に「スパゲティ」「リングイネ」「ペンネ」などの様々な種類があります。

※「魚」の中に「マグロ」「ひらめ」「うなぎ」があるような感じです。

 

その中で、「スパゲティ」のように麺の形をしているものを一般的に「ロングパスタ」、ペンネのような短いものを「ショートパスタ」と呼びます。

 

メジャーなものを並べると、ロングパスタの中には最も一般的な「スパゲティ」、断面が楕円形の「リングイネ」、幅広麺の「フェットチーネ」など、ショートパスタの中には筆記用具のペンの形をした「ペンネ」、蝶々の形をした「ファルファッレ」、貝殻の形をした「コンキリエ」などがありますが、上記はあくまで一例であり、イタリアには数えきれないほど多くのパスタが存在します。

 

パスタの形は、食感やソースの絡み具合に影響しますので、ソースとパスタの組み合わせを色々変えてみるのも楽しいですよ。

 

基本的には、どのソースにどのパスタを合わせても間違いではありません。ただ、ペペロンチーノのようなオイルベースのものはロングパスタを、今回のようなクリームベースのソースには幅広のロングパスタもしくはショートパスタを合わせることが比較的多いです。

 

また、ショートパスタの場合は複数種類のショートパスタを併用することも多いです。(一皿の中でコンキリエとペンネを両方使う、ということです)

 

今回はショートパスタのペンネを使ってみました。ペンネには穴が空いており、ここにソースが入り込んでくれますので、クリームソースのようなソースが多めのパスタとはよくマッチします。

 

またショートパスタはロングパスタに比べて「伸びづらい」という特徴がありますので、おつまみなどある程度長い時間かけて食べる場合にはショートパスタの方が向いています。

【ゼロから始めるパスタ講座】vol.5<br>基本のクリームパスタ

いかがだったでしょうか?

 

今回までの講座で、「ペペロンチーノ」「トマトソース」「クリームソース」3種類の重要な基本のソースを学び終わりました。

 

多くのパスタは、ざっくり言ってしまえばこの3種類のソースのアレンジの範疇です。(具材を変えたり、ハーブを変えたり)

 

従って、ここまででパスタ料理の大きな基礎部分は学び終えたと言っても良いと思います。

 

次の講座では、トマトソース・クリームソースについて、前の講座でご紹介したレシピとはちょっと目線を変えたレシピをご紹介します。

 

※次回の講座はこちら