アラビアータやプッタネスカ、アマトリチャーナなど数多くのパスタソースのベースとなるのがトマトソースです。ペペロンチーノベース、クリームソースと並んで基本のパスタソースですね。今回はそんなトマトソースパスタの基本のポイントをご説明していきます。
※最も基本となるオイルソース(ペペロンチーノ)についてはこちらで解説していますので、まだお読みになっていない方は先に読むことをおすすめします。
(参考レシピ)基本のトマトソースの作り方
2種類のトマトソース
まず最初に、基本的なトマトソースには大きく2種類があります。1つはトマトを玉ねぎやハーブと一緒にじっくり煮込んで甘味とコクを引き出したもの、もう1つはトマト缶だけをざっと沸かしたシンプルなものです。
どちらかというと前者はトラディショナルでどっしりとした印象、後者は都内のおしゃれなビストロなどで採用されているスタイリッシュなイメージがあります。どちらも美味しいソースで優劣はありませんが、今回は調理のポイントの多い前者について解説していきます。
(参考レシピ)シンプルなトマトソースパスタ

トマトについて
トマトソースを作るには、当然のことながらトマトが必要です。生のトマトをそのまま使う方法もありますが、安定するメジャーな方法は市販のトマト缶を使用する方法です。
スーパーなどで売っているトマト缶は400g入りのものが多いです。1〜2人分のトマトソースパスタ1食分だと200gでちょうど良いくらいの量ですが、200g入りのトマト缶はあまり市販されていません。また、トマトソースは作るのに少し時間がかかるので、毎回食べるたびに作るのは効率が悪いです。ですので、基本的には400g入りのものをいくつか使い、ある程度の量をまとめて作って保存しておく、ということをおすすめします。
ご家庭にある鍋などでも作りやすいのは400g×2缶で800gの分量です。この分量で、2人分×3食分程度のソースが出来上がります。
トマト缶にも色々と種類があり、トマトの品種などによって味わい(酸味が強い、甘味が強い、など)も違いますが、煮込んでしまうとそこまで差は出ませんので、手に入りやすいもので結構です。もし商品選びに迷うようであれば、MUTTIのトマト缶をおすすめしておきます。
(参考)MUTTIのトマト缶
ちなみに、商品に「原産国:イタリア」と書いてあっても、それが「イタリア産のトマトを使っている」わけではありません。
国外からの輸入品に関しては「原産国=どこの国から輸入されたか」という意味であり、例えば「中国から持ってきたトマト汁をイタリアで缶詰にした」場合も、原産国はイタリアとなります。
イタリア産のトマトを使ったトマト缶が素晴らしい、と一概に言えるわけではありませんが、もしイタリア産のトマトを使ったトマト缶にこだわりたい場合は、パッケージなどにしっかり「イタリア産のトマトを使用」などと表記のあるものを使いましょう。

オリーブオイルは多めに使う
トマトソースは、オリーブオイルでニンニクや玉ねぎを炒め、トマトやハーブを加えて煮込んで作りますが、野菜を炒める際のオリーブオイルは気持ち多めに使うのがポイントです。
オリーブオイルが少ないとなかなかコクが出ず、奥行きのある味わいになりません。多めのオリーブオイルの中で玉ねぎやニンニクを「揚げ焼き」のようなイメージで加熱することで、野菜の甘味を引き出すことができます。
オリーブオイルは動物性の油と比べてオレイン酸など健康に良い成分も多く含まれていますので、恐れずにたっぷり使ってみましょう。目安として、刻んだ玉ねぎが軽く浸る程度の分量があれば十分です。
(参考レシピ)アマトリチャーナ

香味野菜について
トマトソースを作るとき、多くの場合は玉ねぎを使用しますが、これにセロリやにんじんを追加するレシピもあります。玉ねぎやセロリ、にんじんなど、炒めて使用することでソースの香りを高めるするような野菜を「香味野菜」と呼ぶので覚えておきましょう。
セロリやにんじんをソースに加えるとコクや甘みが増し、野菜の香りが強めに出ます。ボロネーゼ(ミートソース)など他の食材が強いソースではよく合いますが、シンプルなソースの場合は少しくどくなってしまいますので、基本のトマトソースでは玉ねぎだけを使用しています。
セロリやにんじんを加え、野菜の甘味をしっかり出したポマローラというソースもありますので、こちらもご参考までにご紹介しておきます。
(参考レシピ)ポマローラのパスタ

野菜を炒めるときには塩を振る
オリーブオイルで玉ねぎを炒めるときには、必ず軽く塩を振りましょう。これは、野菜に下味をつけると同時に、塩の浸透圧で野菜の水分を手早く抜く、という役目があります。トマトソース作りでは特に、野菜の水分を抜いて甘味や旨みを凝縮させることが大切になりますので、必ず軽く塩を振って炒めるようにしましょう。
トマトの煮込み方
トマトソースを美味しく煮込むには、まず最初に水分が飛ぶまで強火、そのあとは弱火でじっくり、が鉄則です。トマト缶はそのままだと酸味が強く残ってしまいますが、強火で加熱することでクエン酸を分解し、まろやかな仕上がりにすることができます。
煮込み時間はお好みですが、20分〜30分ほど煮込んであげると野菜のコクと旨味が十分に溶け出した深い味わいになります。また、煮込んだばかりのトマトソースは味が馴染んでいないため、一晩おいてあげるとより美味しいトマトソースになります。
(参考レシピ)プッタネスカ
基本のトマトソースのポイントをご説明しました。他のソースと違い、トマトソースは冷凍で作り置きが可能なソースです。いろいろアレンジもききますので、ぜひ試してみてくださいね!