今回は、多種多様なパスタソースの中でも、肉を使ったパスタにフォーカスを当て、美味しいソースを作るポイントを解説していきたいと思います。
牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉など、パスタに使えるお肉はたくさんありますが、どの種類の肉でも基本的なポイントは変わりません。お肉は野菜と比べて使うハードルが少し高いと感じるかもしれませんが、今回ご紹介するポイントをしっかり押さえて、食材のレパートリーの中にお肉も加えてパスタ料理の腕前をワンランクアップしてみてください!
(参考)肉類のパスタレシピ一覧
肉には焼き目をつける
まず、どんなソースでも、肉の美味しさを引き出すためには焼き目をつけることが重要です。肉をフライパンで加熱すると、だんだんと茶色い焼き目がつきます。これは、肉のもつアミノ酸が高温によって「メイラード反応」という化学反応を起こし、茶色の「メラノイジン」という物質が生まれるためです。この物質には香ばしい香りやコク、旨みが含まれているため、美味しいソースには欠かせないものです。
例えばひき肉を炒める場合も、ずっとかき混ぜながら炒めるとなかなか表面の温度が上がらず焼き目がつきません。中火〜強火の高めの温度で、少し焼き付けるようにあまり動かさず加熱することで、香ばしく焼き目をつけることができますよ。
(参考レシピ)豚ひき肉とハーブのトマトソースパスタ
基本は「煮込む」
お肉の美味しいソースを作るコツは、「焼き目をつけた」後に、「煮込む」ことです。もちろん香ばしく焼いたお肉だけでも美味しいのですが、クリームやトマトソースなどの水分で煮込んであげることで、ソース全体にお肉の旨味や香りを溶け込ませることができます。30分〜1時間じっくりと煮込むタイプのレシピもありますが、5分〜10分程度でも十分美味しくなります。
煮込みのソースのことを、ラグー(ragout)と言います。ラグーはフランス語でまさしく「煮込み料理」という意味。食材をハーブなどの香辛料と一緒に煮込んだソースを指します。お肉だけではなく、魚介類や野菜もラグーソースにすることができます。
パスタソースとして最も有名なのは、おそらくボロネーゼ(いわゆるミートソース)だと思います。イタリアのボローニャの郷土料理であるボロネーゼは、牛肉や豚肉をワインやハーブ、トマトと一緒にじっくり煮込んだソースで、肉の臭みは抜けて旨みだけが残り、トマトの酸味、ハーブの香りがとても美味しいソースです。
煮込み料理、というと調理のハードルが高く感じるかもしれませんが、そんなことはありません。確かに煮込む分少し時間はかかるかもしれませんが、材料の下準備をして鍋に入れたあとは煮えるのを待つだけですので、難しい火入れや繊細な味付けはあまり必要ありません。
(参考レシピ)ボロネーゼの作り方
肉には必ず下味をつける
肉は調理する前に必ず下味をつけましょう。例え煮込んだとしても、下味がついていない肉はソースの中で味が浮いてしまい、美味しくありません。下味に使う塩は、肉の重さの1%と言われていますので、きっちり測りたい方は参考にしてみてください。
ラグーソースの場合、塩に加えて胡椒、また場合によってはタイムなどのハーブやカイエンペッパーを加えるのもおすすめです。ハーブやスパイスを下味の段階で振っておくと、肉を噛んだときに美味しい香りが味わえます。
(参考レシピ)豚肉のラグービアンコのパスタ
ワインを加えること
お肉を煮込む時、ワインを加えてみましょう。ワインに含まれるアルコールやポリフェノールには、お肉を柔らかくして臭みをとる効果があります。特に赤ワインはコクや旨みが強く、じっくり煮込むお肉のソースにはピッタリです。一方白ワインには爽やかな風味がありますので、すっきり目の仕立てに仕上げたい場合は白ワインを加えても良いでしょう。ソースにアルコールが残ると美味しくありませんので、ワインを加えたらしっかり強火でアルコールを飛ばすことを忘れずに。
(参考レシピ)鶏肉のトマトクリーム煮込みパスタ
相性の良いハーブについて
パスタソースに使えるハーブはたくさんありますが、その中でもお肉のソースと相性が良いハーブは【セージ・ローズマリー・ローリエ】の3種類です。これらのハーブは他のハーブと比べて、煮込んでも香りが飛びづらい、という特徴があります。逆にイタリアンパセリやバジルなどのハーブは加熱すると風味が飛んでしまうので、生のまま仕上げにかけることが多いですね。
それぞれ違う香りがする3種類のハーブですが、全て併用してあげてもOK。特にローリエは使いやすくラグーソースには必須のハーブですので、お手元にない方はぜひ手に入れてみてくださいね。
(参考記事)パスタに使うハーブ&スパイス
合わせるパスタは太めがおすすめ
野菜のソースなどと比べて、お肉のソースは濃厚でコクが出ます。このようなソースの場合、使用するパスタも噛みごたえのあるしっかりとしたものが相性が良いです。ロングパスタであれば幅広のフェットチーネ、またショートパスタ全般もおすすめです。パスタの乾麺には、表面がツルツルしている「テフロンダイス」と、ザラザラしている「ブロンズダイス」がありますが、できれば食べごたえのある「ブロンズダイス」を合わせてあげるといいですよ。
市販されている有名なものだと、「ディチェコ」や「ガロファロ」などが該当します。
今回はお肉のパスタソースを美味しく作るコツをご紹介してみました。野菜や魚介類とはまた違った旨味のある食材ですので、ぜひレパートリーに加えてみてくださいね!
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