【基本のパスタ】<br>ペペロンチーノを美味しく作るポイント
パスタ料理の基本

【基本のパスタ】
ペペロンチーノを美味しく作るポイント

ペペロンチーノといえば、最もシンプルで基本的なパスタ料理。使う材料も少ないので、おうちで作る機会も多いのではないでしょうか。しかし、美味しく作るのは意外に難しい料理です。今回は、ペペロンチーノを美味しく作るにはどうしたらいいのか、考察してみました。

 

(参考レシピ)基本のペペロンチーノ


ペペロンチーノは難しい

先にも述べましたが、そもそもペペロンチーノを美味しく作るのはかなり難しいです。なぜなら、材料の少ないペペロンチーノは一つ一つの工程がダイレクトに味に直結する繊細な料理だからです。

トマトベースやクリームベースのパスタは、トマトの酸味や甘味・旨味、クリームのコクなど、比較的簡単にわかりやすく「美味しい」と感じる要素が多い料理です。しかし、ペペロンチーノにはそのような要素があまりありません。


【基本のパスタ】<br>ペペロンチーノを美味しく作るポイント

パスタ(麺)の種類について

一口にパスタ、と言っても、多種多様な形状や製品があります。パスタというとソースに注目してしまいがちですが、そもそものパスタの選び方からペペロンチーノに合うものをしっかり考えてみましょう。

まずパスタの形状についてですが、ショートパスタやフェットチーネのように太めのものには濃厚なソースが合うとされ、逆に細めのパスタにはオイルベースや冷製パスタなどあっさりしたソースが合う(よく絡むため)とされています。

ですので、ペペロンチーノの場合は細めのものを使うと良いでしょう。「スパゲッティ」と分類されるもので大丈夫です。また、パスタには生パスタと乾麺がありますが、もったりもちもちした生パスタはオイル系にはあまり合いませんので、乾麺を使いましょう。

 

  • 太めのパスタやショートパスタ:濃厚なソース(クリーム系、肉系)
  • 細めのパスタ:軽めのソース(オイル系、冷製)

 

乾麺には大きく2種類のものがあります。1つは「ブロンズダイス」、もう1つは「テフロンダイス」です。この2つの差は、パスタを製造するときの「穴」の違いです。パスタは生地を穴の空いた機械に通して麺状にするのですが、「ブロンズダイス」は機械の素材が青銅、「テフロンダイス」にはテフロン加工がしてあります。

青銅のものは穴の周りが少しギザギザしており、パスタの表面がザラザラになります。一方、テフロン加工のものはパスタの表面がツルツルです。一般的に、ブロンズダイスの方が製造に手間がかかるため高価ですが、必ずしもブロンズダイスのものが美味しい、というわけではありません。

ブロンズダイスは表面のザラザラにソースがよく絡むため、クリームソースなど重めのソースがよく合います。一方、テフロンダイスは表面がツルツルして喉越しがよく、コシがあるためオイルソースなど軽めのソースが合います。ペペロンチーノは後者ですので、テフロンダイスを使うのがおすすめです。

 

  • ブロンズダイス:濃厚なソースが合う
  • テフロンダイス:軽めのソースが合う

 

(参考レシピ)春キャベツとシラスのペペロンチーノ


パスタの茹で汁について

「パスタの茹で汁には塩を入れる」というのは、皆さんご存知のテクニックではないでしょうか。茹で汁に塩を入れる主な目的は、「パスタ自体に下味をつけること」です。

例えば肉を煮込んだり焼いたりするとき、あらかじめ下味の塩・胡椒を振りますよね。下味をつけないと、いくらソースに味をつけても肉自体の味が薄く感じられてしまい、美味しくなりません。

パスタ料理も同じです。パスタ自体に茹で汁の塩味が染み込んでいないと、ソースの中でパスタだけ浮いたような味になってしまい、全体として美味しくならないのです。

茹で汁には、基本的にお湯に対して1%(1リットルであれば10g、小さじ2程度)の塩を入れます。

 

※ただし、塩分の強い食材を使う場合はこの限りではありません。アサリなどの貝類、生ハム、ゴルゴンゾーラチーズなど、塩分が強く感じられる食材を使用するレシピの場合は、茹で汁の塩分を控えめにしてくださいね。

 

  • パスタに下味をつけるため、茹で汁には塩を入れる
  • 茹で汁にはお湯に対して1%の塩を加える
  • 塩分の強い食材を使う場合は、加える塩を控えめにする

 

(参考レシピ)グリーンオリーブのペペロンチーノ


ペペロンチーノのポイント

パスタの茹で方について

パスタの茹で加減は、少しだけ芯の残った「アルデンテ」が基本です。これはペペロンチーノに限ったことではありませんが、パスタ自体の旨みを味わうシンプルなペペロンチーノの場合は特に、パスタがクタクタになってしまうと全てが台無しになってしまいます。

パスタの袋に記載されている茹で時間より30秒〜1分ほど早くお湯からあげるのがポイントです。フライパンの中で混ぜたり、盛り付けたりする時間をふまえて、ちょうど食べる瞬間に袋の茹で時間ぴったりになるようなイメージをするといいかもしれません。

また、パスタを茹でるお湯の温度ですが、グラグラと強く沸騰している必要はありません。多少水面がポコポコする程度で十分です。沸騰が強すぎてパスタが激しく動くとパスタ同士が擦れ合ってしまい、食感が悪くなると言われています。同様の理由で、あまり頻繁にお湯の中のパスタをかき混ぜる必要もありません。

ちなみに、アルデンテはイタリア語で「al dente」、「歯にあたる」というような意味になります。

 

  • 必ずアルデンテに
  • 強く沸騰させる必要はない
  • 頻繁にかき混ぜる必要はない

 

(参考レシピ)牡蠣の和風ペペロンチーノ


ペペロンチーノのポイント

ニンニクについて

ペペロンチーノの主材料、それはニンニクです。ニンニクはパスタ料理の中でも最も重要な食材ですし、特に日本人はニンニクの香りが大好物です。

皆さんはペペロンチーノを作る時、ニンニクはどのようにカットしていますか?ニンニクのカットの仕方は大きく分けて3通りあります。

 

  • みじん切り
  • スライス
  • 包丁などで押しつぶす

基本的には細かくすればするほど強く香りが出ますが、ペペロンチーノに関してはどの切り方が特に良い、ということはありません。

ニンニクの香りと味をしっかり効かせる場合はみじん切りがおすすめですが、スライスや押しつぶして具材としての存在感を出してあげるのも良いでしょう。スライスの場合は、きつね色になるまでオイルで炒めてから別の皿などに取り出しておき、ガーリックチップにして仕上げに散らす、という方法もあります。(これも香ばしくて美味しいですよ。)

ニンニクをカットせずに潰す場合、ニンニクはある程度形を保ったままの状態で加熱されることになるため、焦げづらいというメリットがあります。ですので、「ニンニクと一緒に加熱したい食材があるけれど、ニンニクをみじん切りにすると先に焦げてしまう」という場合にはこの方法を使います。(例えば、ニンニクとベーコンを同時に加熱してソースを作る場合など)

 

ニンニクを炒めるときのポイントは2つあります。1つ目は芽をとること、2つ目は炒めすぎないことです。

1つ目、ニンニクには真ん中に芽があります。これは周りの部分と比べて香りがキツく、また焦げやすいのでカットする時に必ず取り出しましょう。

2つ目、ニンニクを炒めすぎると苦い味と香りが出てきてしまいます。「きつね色になるまで」炒めるのは少し行き過ぎで、若干色がつき始めたな、という段階で火を止め、パスタの茹で汁少々を加えて火入れを止めてください。

シンプルなパスタ料理であるペペロンチーノだからこそ、こういった一つ一つのポイントが重要になってきます。

 

  • ニンニクのカットの仕方に注目する
  • ニンニクの芽は取ること
  • ニンニクは炒めすぎない

 

(参考レシピ)鶏肉とズッキーニのペペロンチーノ


ペペロンチーノのポイント

唐辛子について

唐辛子が果たす第一の役割は「辛味をつけること」ですが、実は唐辛子には旨み成分であるグルタミン酸が豊富に含まれているため、「旨味をプラスする」という役割もあります。

市販の唐辛子には、ホール(丸ごと)と輪切りのものがありますが、輪切りの方が辛味が強く出ます。また、唐辛子は特に種の部分の辛味成分が強いので、ホールを使用する際も割って種ごと使用する方が辛く仕上がります。

その他に、「カイエンペッパー」と呼ばれる、いわゆる一味唐辛子も市販されています。こちらは好きなだけ辛味を調整できる便利な調味料ですので、興味があれば手に入れてみてください。

 

  • 唐辛子には旨味成分もある
  • ホールより輪切りの方が辛い
  • 種を加えるとさらに辛い

 

(参考)海老とししとう、カラスミのペペロンチーノ


オリーブオイル

オリーブオイルについて

オリーブオイルには大きく分けて「エクストラバージン(EXV)オリーブオイル」「ピュアオイル」の2種類があります。より細かい分類や国による分類方法の違いなどは一旦おいておきますが、ざっくり言えば「EXV」はいわゆる生搾り、「ピュア」はそれを精製したものです。

「EXV」の方が香りや味わいが強いものが多く、値段も高価です。こちらは火を通したりニンニクを炒めたりするとせっかくの香りが飛んでしまってもったいないため、加熱せず仕上げにまわしかける、というような使い方が一般的です。

ペペロンチーノのように、「オイルにニンニクと唐辛子の香りを移す」ような場合は、香りの弱い「ピュアオイル」でOKです。

 

  • オリーブオイルには大きく分けてEXVとピュアオイルがある
  • ペペロンチーノの場合、ピュアオイルを使用すればOK

パスタとソースの合わせ方

パスタには「乳化」が大事、ときいたことがあるかもしれませんが、水分とオイルがパスタに含まれるデンプン質によって繋がり、とろみがつくことを「乳化」と言います。例えばマヨネーズも油分と水分が乳化して白濁したものです。

神経質に「乳化」を目指す必要はありませんが、やはり油分が多すぎると脂っこく、水分が多すぎると水っぽく感じてしまいますので、ちょうど良い割合を目指してみましょう。

茹で上がったパスタをフライパンに加えてトングや箸でぐるぐると混ぜたら、フライパンを傾けて麺をよせ、ソースの具合を確認してみましょう。水っぽい場合は少し加熱して水分を飛ばし、油っぽい場合はパスタの茹で汁を少し加えてあげると良いですよ。


その他の材料は大事

冒頭にも述べましたが、ペペロンチーノが難しい理由は「わかりやすい旨味要素が少ないから」です。ですので、旨味成分の強い食材をプラスしてあげることで、比較的簡単に美味しく仕上げることができます。

ペペロンチーノにプラスするおすすめの要素は、「動物性たんぱく質」と「爽やかな香り」です。

まず「動物性たんぱく質」ですが、具体的にはパンチェッタやベーコン、アンチョビ、チーズ、バターなどがあげられます。これらの食材を加えてあげることで旨味が分かりやすくアップします。

「爽やかな香り」には、レモンなどの柑橘系、ローズマリーやパセリなどのハーブがあげられます。ニンニクの香りだけでは少しもっさりしてしまうところを、これらの香味ですっきりと奥行きのある味わいに仕上げることができます。

調理の技術を磨くのも大切ですが、食材の組み合わせを色々試してみるのも料理の醍醐味です。ペペロンチーノというシンプルな料理だからこそ、その他の食材やハーブなどに気を配ってみると良いでしょう。

  • 動物性たんぱく質、爽やかな香りでワンランクアップ
  • 動物性たんぱく質はパンチェッタやアンチョビ、チーズ
  • 爽やかな香りはレモンやハーブ

 

(参考レシピ)海老とズッキーニのオイルパスタ


今回はペペロンチーノを美味しく作るコツを、各要素に分解して解説してみました。シンプルゆえご自宅で作ることも多いペペロンチーノ、こちらの記事を参考に美味しいペペロンチーノを作ってみてくださいね。